株式会社鳶髙橋は「サーキュラー建築プロジェクト」を発足しました。
サーキュラー建築は、サーキュラーエコノミーから発生した造語です。資源を循環させて新たな価値を創造するサーキュラーエコノミー同様、サーキュラー建築も、3R(削減・Reduce、再利用・Reuse、再生・Recycle)を基本としています。廃棄物を出さない建築デザイン、CO2排出量削減や廃材利用を促す活動としてサーキュラー建築は誕生しました。

鳶髙橋のサーキュラー建築プロジェクト第一弾は、 「工作でカーボン・ニュートラルを学ぼう」です。
千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズ期間中の2021年8月9日に、廃材を利用した椅子や小物をつくるワークショップを開催しました。

建築廃材から発生するCO2量は東京ドーム177個分

新築、改築、解体時と、建築現場では必ずといってよいほど廃材が発生し、主に※肥料や燃料として活用されています。

※出展:環境省「参考資料1 今後の方向性と中間的整理(案)参考資料」
https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y0317-05/ref01-3.pdf

廃材を燃料として利用すると、廃棄物発電施設では4.6万t、重油(B.C重油)の代替燃料とした場合には43万t、東京ドームで換算すると177個分のCO2を排出します。
廃材を再利用し、燃料活用をしないだけで環境課題に大きく貢献することが分かります。

カーボン・ニュートラルとは

カーボン・ニュートラルは、森林などが排出する酸素量と、人や動物の活動により排出される二酸化炭素量が同等量になることを指します。2050年までにCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにすることを目指す取組みとしても注目を集めています。

建築分野でも、家を建てる際に発生する大量の木材破片やゴミ(廃材)を減らすことで、二酸化炭素排出量を削減し、自然のサイクルに適合させることが可能となります。

カーボンニュートラルの広がりは、一人ひとりが地球環境を考え、より良い社会を目指して行こうという活動です。今回は廃材を活用したイベントを通じてカーボン・ニュートラルを学び、環境問題を身近に感じてもらうためにイベントを開催しました。

大人も夢中、思考と創造を楽しむ時間

廃材が環境問題に与える影響についてのガイダンスが終わり、工作開始。各々好きな木材を選び制作にとりかかります。

木材の加工は専属のスタッフがサポートしました。

木材選びに時間をかける子、設計に時間をかける子と、イベントがスタートしてからすぐに参加者の個性が現れました。まずは木材を組み立ててから考える子や、木材と手元の用紙に番号をふって設計図を組み立てる子もおり、制作過程は人それぞれです。

もともとは「椅子をつくる」。というテーマでしたが、自然環境の中で生まれるアイディアは十人十色。椅子にこだわらず、思い思いの作品を作ってもらうことにしました。

想定では男の子が楽しんで取り組んでくれるのかな、と思った企画でしたが、蓋を開けば女の子が驚くほどの集中力で真剣に取り組む姿がありました。

もちろん子どもだけでなく、大人も想像力豊かな作品をつくって楽しんでおり、自然環境の中でのびのびとクリエイトに没頭していました。

鉄道好きの参加者は駅校舎を完璧な寸法で作りました。

お子さんと参加してくださった方もかわいらしい小物を作成。

本来、午前の企画ではあったものの、他のプログラムに参加をしていた子ども達も完成されている作品をみて「私も、僕も作りたい!」と、残った廃材で自発的に作品を作成しはじめました。

初めて木材にふれる子もおり、完成した作品をおうちに飾ると喜んでくれていました。

色をつけたり物語をつくったり、想像がつかない完成物を目にして「制作過程や完成された作品を見るのがこんなに楽しいんだ」と企画側である我々が一番わくわくしていたかもしれません。

まずは参加者が楽しんでくれるということが大切なので、みんなが笑顔で完成物を見せてくれた瞬間が何よりも企画の成功だと感じました。

志に共感した、千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズ

本イベントは、2021年8月7日から8月13日までの7日間開催された「真夏のワーケーション・ウェルカムデイズ」において、聖高原キャンプ場を貸し切り開催されたイベントの1コマとして実施しました。

千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズでは、2019年10月から「快適な働き方の実践」と「温泉・絶景など地域資源を活かすこと」を目的に、シーズン毎に約1週間のワーケーション体験会を開催しています。

仕事がはかどるワークプレイスの提供はもちろん、ゼロ・カーボン等の社会的課題を感じるイベントや、社会課題に触れたアイデアソンを行うなど、出会いと学びに溢れたコンテンツを提供しています。

鳶髙橋もこうした地域や環境への取り組みに賛同し、千曲市ワーケーション・ウェルカムデイズに参画。今回企画側としてプログラムに参加をしました。

「この木が捨てられるのはもったいない」そんな声を聞けることができたのも、このイベントを開催した意義の一つ。

鳶髙橋では引き続き、イベントや活動を通して環境問題を身近に感じてもらい、木材がある暮らしを体験してもらえるきっかけを提供していきます。

記事一覧に戻る