レガシー産業と呼ばれる建築業界こそ、最新テクノロジーや最先端で活躍する登壇者のお話、感度の高い参加者との交流を通じて情報取集をすることに意義があると考え、鳶髙橋スタッフが3日間国内最大規模のスタートアップカンファレンス、IVS2023 KYOTO/IVS Crypto 2023 KYOTO(以下:京都IVS)に参加してきました。
2023年6月28日(水)から3日間、京都市勧業館「みやこめっせ」とロームシアター京都で開催された京都IVSは1万人以上が集い、新しいムーブメントが生まれる前夜のような空気がありました。会場の様子や学び得たことをシェアします。
国内最大規模のスタートアップカンファレンス、京都IVAとは
京都IVSは株式会社Headline Japanが行政と連携し、起業家・スタートアップ、新規事業に挑む大手企業、世界中から出展者が集まるスタートアップカンファレンスです。今まで紹介制をとっていたIVSは2023年にオープンイベントとして開催されました。
17ステージにてピッチや約250の講演がおこなわれ、地元飲食店のフードコートが集い楽しめるコンテンツが満載です。
各フロアに複数のブースがあり、課題に応じたさまざまなセッションが開催されています。どのテーマも興味深く、実際に活躍されている方々のディスカッションや講演という生の情報に触れることができます。
テーマごとに分かれた3フロアで広がる世界
会場は3フロアに分かれており、それぞれコンセプトに応じた空間設計がなされています。交流を促す仕組みや、心躍る仕掛けについて紹介します。
NEXT CITY:スタートアップのはじまりの街
「これからスタートアップを始める人が、挑戦したい社会課題と、野心的な同士に出会えるスタートアップのはじまりの街(オフィシャルサイトより引用)」
NEXT CITYは、スタートアップ企業で働く方、起業を考えている方、新規事業を立ち上げようとしている方など、新たな価値を生み出そうとしている参加者が集うフロアになっていました。
CRYPTO関連エリアも連なっており、世界中からピッチや登壇、ブースにて交流をはかっていました。海外の最新事例や取り組みは同時通訳でスライドに日本語字幕が表示されており、AIをどのようにビジネスや社会に取り入れるか、Web3での取り組みについて熱い議論が交わされていました。建築業界においてDX化の必要性に言及する場面は数多く直面してきましたが、次元を超えた世界でどのように貢献できるか、自分のなかで問いが生まれたブースでした。
VILLAGE:冒険の始まりの村
「冒険の始まりの村」というコンセプトの通り、イベント全体を楽しむガイダンスが行われ、飲食をオープンスペースで楽しみながら参加者と交流できるフロアです。
なかでも開催地である京都の魅力を存分に生かしたブースは見逃せませんでした。運営スタッフの方に訪ねてみると、こちらの空間は映画の舞台設計に携わる会社と協働でデザインされているそうです。京都の歴史だけではなく、照明や小道具も相まって近未来感がハイブリッドで表現されています。
かざすだけで名刺交換ができるカードや来場者同士が交流できるビジネスマッチングアプリなど、その場で使えるツールの提供もあり、まさにオンボーディングのフロアでした。
PRO BASE:商談がその場で生まれるイノベーション
地下1階は主に経営幹部、投資家向けのゾーンとなっています。PRO PassチケットおよびVIP Passチケットの保持者という、一部の方のみが入れるブースです。老舗の飲食が楽しめたり、登壇者がくつろいでいるラグジュアリーな空間は特別な気分になれます。「”気づき”と”繋がり”を具体的に産み出すためのゾーン」というコンセプトの通り、商談している方々がたくさんいました。話しかけてくださった企業の方も、どうしたら貢献できるかという視点で話しかけてくださり、今でも継続的なやりとりをさせていただく仲になりました。同じ志を持ち挑戦する人が集まる空間に刺激と心地よさを覚えました。
建築分野の可能性
建築関連に特化をした講演はなかったものの、まちづくりや官民連携において建築は深く関わってきます。キャリアや戦略、経営における生の情報を直接経験者から伺えるだけでなく、質問もできました。聞き手の方も前のめりで熱量、本気度を感じられる、まさに熱気のある空間でした。
前向きで新しい風がふく空間に、次回は携わりたいと考えています。レガシー産業ということもあり、建築分野など一次産業の出店がないのはチャンスでもあると思いました。次回は出店側としてスタートアップ企業との協働を目指せるのではないかと想像をふくらませています。
コラボレーションや協業の可能性がありそうだと思ったのは、デジタルアーカイブで被災状況や被災者の声をまとめた大学生のワークショップです。作品は感慨深く、まちをつくるだけでなく残すことにも大きく貢献できるのではないかと新たな視点をもらいました。
2027年に創業100年を迎える鳶髙橋は江戸町火消しのルーツを持っており、祭事の主催をおこないます。海外の方が出店していたブースで、インターネット上で参拝ができ、NFT(非代替性トークン)でお布施ができるというアイデアは印象的でした。
オフラインでしか成り立たないと思っていた伝統行事でさえ、オンライン化する世界は、アイデアの枠をひろげます。
来年に向けて建築業界でできることにアンテナをはり、新規事業に挑戦しながらブラッシュアップして再参加したいと思います。