株式会社鳶髙橋はスターホーム株式会社と「とっておきのまちづくりワークショップ」を 2021年12月11日(土)に開催しました。

社会学者から「循環型社会」の概論を学び、建築家・設計士と共に、人や環境にやさしいまちを考え・工作することで社会課題を身近に感じることができるイベントとなりました。

鳶髙橋による「サーキュラー建築プロジェクト」

2021年7月に発足した「サーキュラー建築プロジェクト」は、建築を通じて持続可能な社会に貢献する活動を指します。第一弾は工事現場から発生した廃材を活用して椅子や小物をつくるワークショップ「工作でカーボン・ニュートラルを学ぼう」を長野県千曲市で開催しました。

第二弾となる「とっておきのまちづくりワークショップ」でも、環境課題を身近に感じていただく学びの機会を提供するためイベントを実施しました。

長野県千曲市で開催したイベント「工作でカーボン・ニュートラルを学ぼう」

「循環型社会を目指す必要性、課題や日本の可能性」 

伊藤将人氏

循環型社会やSDGsの概念や地域事例、将来世代のためにできることを社会学者である伊藤将人氏に講演いただきました。

伊藤将人

1996年長野県生まれ。大学在学中に自身が代表を務める事業が長野県地域発元気づくり大賞を受賞。現在は一橋大学社会学研究科にて国内移住に関する研究を行いながら、KAYAKURA代表として長野県を主なフィールドに観光インバウンド・移住・まちづくりのコーディネート・プランニング・調査・PRを多数手がける。

講演内容

<講演概要>

最近耳にする機会が増えた「SDGs(持続可能な開発目標)」、「循環型社会/経済」という言葉。それぞれの目的である「将来世代の豊かな生活」を実現するために必要なキーワード、「将来世代」に着目したお話しがありました。
将来世代と現役世代の間に存在する壁を超えるために「フューチャーデザイン」という手法を学び、体験しました。

フーチャーデザインは、現役世代である我々が、そのままの年齢で未来にタイムスリップしたとして、どのような課題があるのか想像力を働かせて対話をする手法です。今回は、「2070年、日本の住まいとまちづくり」をテーマに、未来人(将来世代)になりきって住んでいる地域の状況、困っていることや解決方法を語り合いました。

学生参加者の発表風景

学生の参加者が「フューチャーデザイン」で未来人として話した内容は具体的でした。

「私たちが住む2070年の世界は、都市と田舎が近くなっていて、職住近接が成り立っています。今は高齢者が多いので、私たち20代は積極的に高齢者を手伝っているんです。助け合う必要があるので昔よりも地域住民の結びつきが強く、コミュニティーが強化されています。」

将来世代を支える年代だからこそ解像度の高い世界を思い描けるのかもしれません。

将来世代の豊かな生活のために実践できることは、地域や企業の数だけ存在します。モデル事例や理念に無理矢理あてはめる必要はなく、できることを行う、そういった思考方法や考えるきっかけをいただきました。

詳しい講演内容はこちら

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社会学者×建築家×設計士による対談

伊藤 将人氏×星 武司氏×岸 雄一郎氏の対談では、各社の環境課題への取組みや、循環型社会の実現に必要なこと、建築業界と循環型社会のつながりについて対話が繰り広げられました。

星氏「私は20年以上経営をしていますが、将来世代を意識しないと自分たちの事業繁栄も未来もないと気が付きました。」

岸氏「本来日本の建築物は環境共生で環境や風景を壊さない存在です。現代の家を設計するときも生かすべき考え方だと改めて気付かされる時間でした。」

対談は、伊藤氏の話を受けて感銘を受けた2人の感想からスタートしました。

伊藤氏「SDGsの目標にある”住み続けられるまちづくりを”の通り、さまざまな人を受け入れる、安全で災害に強いまちを作るために、全ての人がまちづくりの計画や運営に参加できることが必要になりますが、スターホーム株式会社、Tobitaka Design Officではどのような取り組みをなさっていますか?」

全体のファシリテーションを担当してくれた社会学者の伊藤氏からの問いかけに対し、各社の見解がありました。

星氏「スターホームでは ”ユニバーサルコミュニティ” という独自の概念を提唱しています。障がいを抱えた方や、その家族の方も当たり前のように生活ができる社会・世の中にするための仕組みづくりをしようと事業展開をしています。もともとレストランだった社屋を生かして障がいをお持ちの方も働けるレストランをスタートし、建築だけでなく住む、食べる、楽しむ、ステイする事業を始めました。地域の遊休地を生かし、地元素材をレストランで提供する、全ての人を幸せにできるコミュニティーをつくりたいと思っています。」

岸氏「自然と共存する古民家のような住宅設計を近代住宅に取り入れる工夫をしています。例えば敷地が限られた都内の住宅で水平な縁側を積み重ねて囲い、木戸を付ける住宅などをつくっています。」

対談の後半には建築とまちづくりの将来について、伊藤氏は幸福感が高い地域を例に、星氏は建物が埋没された未来、岸氏はネットワークが織りなす空間構成についてそれぞれの知見と具体的な事例をもとにお話しをいただきました。

対談風景

セリフ部分は一部編集をしています。全体動画はこちら

お弁当

お昼休憩で提供したお弁当は、逗子にお店を構える「SEEDLING(シードリング) KITCHEN」さんが提供してくださいました。

今回のイベントに合わせたビーガン弁当は色鮮やかで食べ応えも抜群でした。

「SEEDLING(シードリング) KITCHEN」のビーガン弁当

今回のイベントでビーガン弁当を選んだのには理由があります。実はビーガンは環境課題と密接なつながりがあるのです。

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)やメタンガスの排出は、畜産業によるものが大きいといわれており、特に牛のゲップに含まれるメタンガスの排出量は、深刻な問題といわれています。シカゴ大学の研究では、「従来の車からハイブリッド車に乗り換えるよりも、ビーガンになる方がより効果的に二酸化炭素排出量を減らすことができる」という結果が出ているほどです。

そこで、動物性食品を使わないビーガン料理が環境問題に寄与することを美味しく食べながら考える機会になればと思い、ビーガン弁当を選ばせていただきました。

会場のRVサイトのテラスで自然を楽しみながら食事を楽しめます

ワークショップ

ワークショップでは粘土、クラフト用紙を使って理想のまちを想像、形にしていきました。文章を書く方、模型を作る方、絵を描く方と十人十色のアイデアが発表されました。

学校、病院、オフィス、工場地帯や公共施設が連なったまちをイメージした作品。風力発電や工場の音はグリーンベルトで騒音対策をしているのが特徴なのだとか。池の周りを電動キックボードや自転車など、環境に優しいモビリティで回遊できる、利便性と自然が共存するまちをつくった作品です。

こちらの作品は、森の中、市街地など、住みたいところに住めるまちづくりをイメージしています。子供がいる時は教育施設が充実した街中にいて、年齢を重ねてから変わる理想のまちに移動して住める、公園が移動するようなイメージの作品を発表してくれました。

絵を描く人、文章で表現する人と十人十色の作品が出そろったワークショップ。人々の交流、地産地消など、人と環境に配慮した作品が数多くみられました。

参加者のアンケート結果

今回参加いただいたのは大学生、地域にお住まいの方、建築会社の経営者、大手IT企業の役員など、様々なステータスの方々が参加してくれました。

「他の自治体で成功した事例を他の土地でやっても意味がない。という学びが印象的だった。」

「SDGs、循環型社会、循環型経済を自分なりに整理できたのと、フューチャーデザインというアプローチは大変面白く自分も仕事などで試していきたい。」

「教科書で勉強するのでは理解するのに時間がかかってしまったり、わかりにくい所がありました。ですが、今回お話を聞いて凄く分かりやすく、もっと時間が欲しいと思いました。また、自分でも勉強する時間を作ろうと刺激を受けました。」

それぞれの学びや発見があったようです。

生活している環境のなかで出来ることについては、

「確実にリサイクルされる製品を選んで購入する。」

「地産地消を意識し、国産や県内の食品を購入する。」

「壊れたから新しいものを買うではなく、修理して長く使っていきたい。」


イベントの雰囲気に運営として大変やりがいと実り多い時間となりました。今後も環境、まちづくりについて深く考える機会を創出するとりくみをおこなっていきます。

<ダイジェスト映像>
【ダイジェスト】サーキュラー建築プロジェクトVol.2「とっておきのまちづくりワークショップ」@Hayama RV-SITE
<講演映像>
【講演】社会学者が語る”将来世代との対話”と”循環型社会”「とっておきのまちづくりワークショップ」@Hayama RV-SITE
<対談映像>
【社会学者×建築家×設計士トークセッション】とっておきのまちづくりワークショップ@Hayama RV-SITE

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