背景

「映画『男はつらいよ』のあたたかい世界を形にするために、おせっかいハウス”昭和の寅や”をつくりたい」と夢を語る清水則子さん(以下:則ちゃん)と出会い、彼女の純粋な思いに共感した鳶高橋は、ゲストハウス・シェアハウスである「昭和の寅や」のグランドデザイン、施工を担当しました。シングルマザーで資金も人脈もなかった則ちゃんですが、長野県で開催されている千曲市ワーケーションウェルカムデイズというイベントを機に多くの協力者を得て「昭和の寅や」を4月17日にオープンさせます。

設計・施工時のポイント

設計や施工を行う際に重要視したのが”交流が生まれるデザイン”です。
テーマとして「人と暮らしと働くことがまちの中で繋がる、昭和の世界」を掲げて、特にこだわった点として3つほど紹介します。

①外観の色
外観の色を考える際は『男はつらいよ』の舞台となった柴又へ足を運び、街中を見て回りました。
そして「昭和の寅や」がもつ、あたたかく賑やかなカラフルな世界を引き立てるためにも、外観はシンプルな「墨色」を採用しました。

③腰掛け
古民家の梁で使われていた欅(けやき)の原木を利用した腰掛です。目の前の公園をながめながら自然と軒先で腰を掛け雑談ができ、木の暖かみを座りながら感じることができるひとつの交流の場としました。

②差し掛け
今回のテーマにあわせて作成にしたのが差し掛けです。材料は古民家の解体で発生した再利用可能な廃材と、竹、丸太、縄、杉皮などの厳選した天然素材を使用しています。
日本の伝統建築は天然素材から構築されており、解体となったとしても土に還る利点もあり、社会課題やサステナブルにもつながります。

施工:建装社/鳶高橋
所在地:長野県千曲市上山田温泉
タイプ 空家再生リニューアル
延床面積 330m2
竣工 2022.4
施工:鳶高橋 Tobitaka Design Office
高橋慎治/建築デザイン監修・景観設計
坂下彩花/ブランディング

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